港区出張トレーナーが勧める、鍵板損傷後のリハビリトレーニング
今回は、肩の「鍵板(けんばん)損傷」、いわゆる「ローテーターカフ損傷」後のリハビリについて、実際に多くのお客様に指導している経験をもとに、安全で効果的なトレーニング方法をご紹介していきます。
肩を痛めたことがある方はご存じかもしれませんが、鍵板は肩関節の安定性に大きく関与する非常に重要な筋肉群です。一度損傷すると日常生活にも支障をきたし、再発のリスクも高くなるため、適切なリハビリが不可欠です。
鍵板(ローテーターカフ)とは?
まずは簡単に、鍵板についておさらいしましょう。
鍵板とは、肩関節周囲にある4つの筋肉の総称です:
- 棘上筋(きょくじょうきん)
- 棘下筋(きょくかきん)
- 小円筋(しょうえんきん)
- 肩甲下筋(けんこうかきん)
これらの筋肉が協調して働くことで、肩関節の安定性とスムーズな動作を可能にしています。スポーツや日常動作で酷使されやすく、損傷しやすい部位でもあります。
鍵板損傷の主な原因と症状
原因:
- スポーツ(野球、テニス、水泳など)によるオーバーユース
- 加齢に伴う筋腱の変性
- 転倒や肩を打つなどの外傷
- 姿勢不良による長期的な負担
症状:
- 肩の動きに痛みが伴う(特に腕を上げる時)
- 夜間痛(就寝時に痛む)
- 肩の可動域の制限
- 力が入りにくい、物が持ち上げにくい
これらの症状が出てきたら、無理をせずに整形外科を受診し、MRIやエコーでの診断を受けましょう。損傷の程度によっては、手術を勧められるケースもあります。
鍵板損傷後のリハビリの考え方
鍵板損傷からの回復は、一気に進めるものではありません。段階的に回復を目指すことが大切です。主に以下の3つのフェーズに分けて進めます。
フェーズ1:炎症の鎮静化と可動域の確保(術後0〜6週)
- 痛みのある動きは避ける
- アイスや超音波治療で炎症を抑える
- 他動運動(トレーナーの補助による動作)で可動域を少しずつ回復
フェーズ2:筋力回復と神経再教育(6〜12週)
- 軽いアイソメトリック(等尺性)運動から開始
- 筋肉の神経的なコントロールを回復
- 肩甲骨周囲の安定性向上を目指す
フェーズ3:機能的トレーニング(12週以降)
- 抵抗を加えたエクササイズ
- 日常・スポーツへの復帰を見据えた機能訓練
- 再発予防のための全身的な動作改善
出張トレーナーが勧めるリハビリトレーニング例
ここからは、港区のご自宅やオフィスで実際にお客様に指導している、段階的なトレーニングの一例をご紹介します。
フェーズ1:可動域の改善
1. テーブルスライド
方法:
テーブルに手を置き、前方に滑らせるように体を前傾させます。肩の痛みがない範囲で行いましょう。
ポイント:
- 腕の力は抜く
- 肩の引きつり感があれば無理をしない
フェーズ2:安定性の回復
2. 肩甲骨プッシュアップ(壁バージョン)
方法:
壁に向かって立ち、肩幅の位置で手をつきます。肘を曲げずに肩甲骨だけを前後に動かします。
目的:
肩甲骨の可動性と安定性の回復。これが鍵板への負担軽減に直結します。
3. サイドレイズ(チューブ使用・30度まで)
方法:
軽いチューブを使って、腕を30度までゆっくり横に上げ下げします。無理に高く上げないことが大切。
注意:
- 棘上筋を過剰に使わない範囲でコントロールする
- 痛みが出たらすぐに中止
フェーズ3:機能的動作トレーニング
4. ダンベルエクスターナルローテーション(側臥位)
方法:
横向きに寝て、上側の腕に軽いダンベル(0.5〜1kg)を持ち、肘を体につけたまま外側に回す。
目的:
棘下筋・小円筋の強化と再教育。
5. ケーブルやバンドでのフルレンジ・プレス系動作(12週以降)
方法:
抵抗バンドを用い、立位で肩の水平外転や前方挙上の動作を段階的に導入。
ポイント:
- スポーツ復帰やジムワークを見据えた機能的な可動性向上
- 動作のなかでの正しい肩甲骨-上腕骨リズムの習得
生活習慣の見直しも忘れずに
リハビリトレーニングと並行して、日常生活の中でも以下のような点に気をつけましょう。
- 長時間のスマホ・PC作業中の猫背姿勢を避ける
- 重い荷物を片方の腕だけで持たない
- 寝具(特に枕)の高さを見直し、肩への負担を減らす
- 定期的なストレッチや温熱療法を習慣化する
他にも【中央区出張リハビリ】内側側副靱帯損傷からの安全な自宅トレーニング法についてというブログもござますので是非ご覧下さい。
